アーティスト紹介

ヤマガミユキヒロ

  • 作品集(映像)
  • 作品集(画像)
  • インタビュー
  • スケジュール
  • プロフィール

INTERVIEW WITH YAMAGAMI YUKIHIRO 2009.09.08

作品について - 僕が描くんじゃなくて、光に描写してもらおう

&ART(以下、&) : 制作活動の軸になっているのはと「街」でしょうか?
ヤマガミユキヒロ(以下、Y) : そうですね。気になるポイントというのはいつも決まっていて、街の中で起こる些細(ささい)な出来事とか…。例えばお正月に田舎に帰らずに街中に出た時に、最近は空いている店も多いですけど、一昔前は店のシャッターが全部閉まっていて、ゴーストタウンみたいになっていてたじゃないですか。そういう時にちょっと感じる違和感が面白かったりしますね。「ちょっとした変化で、不気味になったり、きれいになったりというのが、街の中にいっぱい転がっているな」と思って、それをモチーフにしています。
& : ヤマガミさんは様々な視点から街を見ていますよね。「SynchroniCity」だと、街を歩きながらですし、「NightWatch」だと、かなり引いた目線から見ていますね。
NightWatch 2005-2008

NightWatch 2005-2008

Y : 最近までは僕は街の中を歩いている人、つまりに「街の構成員」にはならずに、外側から一歩引いて冷めた目線で見ているような雰囲気で作っていたんのですが、「SynchroniCity」は、自分も構成員になったような感じで、そういうふうに作品を制作したのははじめてだったので、自分の中でも面白い試みでした。

& : 「NightWatch」をはじめ、「絵画と映像を重ねる」という技法での制作を長く続けていらっしゃいますが、1999年の「存在の表現」という作品が最も初期のものですか。
Y : そうですね、大学時代は純粋な絵画を制作していて、大学の共同制作室にあった自分のキャンバスの前に椅子を置いて、同じ制作室の友人に「休憩するときにこの椅子に座ってよ」とだけ伝え、それで座った人をひたすら追って描くというようなことをやっていました。一作あたり半年くらい制作期間が必要だったので、学生時代の作品数がすごく少ないんです(笑)。
& : 半年もかかるんですか!?
Y : そうなんです、ただ、その制作方法だと、コンセプチュアルな意味では重厚なものはできるんですが、絵画として見せるには弱かったんです。いつまでたっても仕上がりませんし・・・。展覧会をしたかったから、これをどういう風に発表するかと考えた時に、写真に撮ってみようと思って、撮影してみたんですが、その時に普段目にしている世界が、全然違ったものに写っていて。このような写真の持っている面白さを絵の中に入れられないかなと思った時に、「投影して写真を絵画に入れてしまおう」と思って絵画に写真を投影して重ねたんです。それから制作していくうちに、作品に時間性がほしくなって「車などの動いている部分は、僕が描くんじゃなくて、光に描写してもらおう」と思い、映像を使用しはじめました。

京都について - 相談相手がいると「この作品どう思う?」とか聞けるじゃないですか

& : neutronが現在拠点となっていますが、展示することとなった経緯をお聞かせください。
Y : 寺町三条にあるビルの5階にneutronをオープンする前日の慌ただしい時に、人の紹介で連れて行ってもらって、そこでオーナーの石橋くんと出会いました。最初は「カフェ画廊だったので、僕の展示する場所ではないかな」ということを思っていたので、付かず離れずという関係でした。それから2003年に地下のギャラリーがオープンして、その時に個展をやったんです。石橋くんとはすごくいい関係ですね。
& : neutronをはじめ、今まで京都でたくさん展示をしてきたと思いますが、京都のアートについて、どのような印象を持っていますか。
Y : 不景気になって、東京の元気がどんどんなくなっているとか、イギリスのアートの情勢が良くないということを聞くと、アートが盛り上がるも冷めるも、景気に左右される部分はあるんじゃないかと思います。ただ、京都はアートでお金儲けしようしている人が少ない分、景気にあまり左右されないですよね。コレクターがあまりいないということもあると思うんですが、それがいいと思うこともあります。インスタレーションをやる人とか、販売しにくいような作品を作っている人には、発表しやすい場かなと思います。

& : 長く京都に住んでいますが、アート以外のことも含めて、京都の街の魅力というのはどういうところでしょうか。
Y : 安くておいしい店が多い(笑)。後は友人が京都にたくさんいるというのはありますね。相談相手がいると「この作品どう思う?」とか聞けるじゃないですか。作品を作るのは、一人なんですけど、そういうのを聞かないと僕は伸びないと思っているので。だから新作を作るときは、色々な人に電話したり、アトリエに呼んで意見を聞くんです。
ヤマガミユキヒロ さん

社会について - 僕にとって社会は普通の情景です

& : ヤマガミさんはどのような人に自分の作品を見てほしいですか。
Y : 僕はまずアートが好きな人に自分の作品を見てもらいたいと思います。現在は興味を持ってくれる人の絶対数が少ないので、もう少しアート好きが増えればいいと思うのですが…。今は展覧会をしても、アーティストとか、美大学生とか、関係者しか見に来ないので、ちょっとそれはさみしいですし、もうちょっと「普段普通に会社員やOLをやっているけどアートは好きです」というような人が増えてほしいですね。音楽だったらみんな好きな物とか細分化して楽しんでいて・・・
& : 「最近はロックじゃなくてジャズ聞いてます。」みたいな(笑)。
Y : そうそう、アートだと「今俺は絵画じゃなくて彫刻好きです」みたいな(笑)。そんな感じになってくれたらいいと思いますね。
& : 展覧会を見に行くにしても、しっかり調べていかないと、京都は星の数ほどギャラリーがありますし…。
neutronでの展示風景

neutronでの展示風景

Y : それはアート関係者の責任というのもあると思っていて、これまでアート関係者側の「わからない人には見せたくない」というのも、あったと思うんです。最近は少しずつは裾野は広がっているとは思うんですけど…。neutronはカフェ・ダイニングが併設してあるので、関係者以外の人もよってくれたりとかもあるのですが、他のギャラリーでやると、まだ関係者のみしか来ないことが多いですね。せっかく作品を作ったんだし、もっと見てもらいたいとは思っています。
& : そうすると、今のアートと社会の関係性については、少し繋がりが薄いと思いますか。
Y : 濃くはないですよね。例えば広告塔という形などで、アーティストが、企業体に所属する状況が生まれた時に、アートもようやく社会の中に入るのかなと思っています。作品を販売するということや、大学で教鞭をとるという選択肢もいいと思うのですが、それにプラスして企業からのサポートがあったりとかそういう選択肢ができればいいですね。そのためにはアーティスト側が、そうとう頑張らないとダメですけどね。

& : ヤマガミさんにとって「社会」とはどのようなものでしょうか。
SynchroniCity 2009

SynchroniCity 2009

Y : 普段働きながら制作しているので、僕にとって社会は普通の情景ですね。自分が社会に属して生活しているから、社会ということが作品の興味としてあるのかもしれないですね。
& : アーティストは、社会にとってどのような役割を持っているのか、そしてどのような存在になっていくべきだと思いますか。
Y : あまり門戸(もんこ)を広げすぎてしまうと、美術の本当に面白いところが、抜け落ちてしまったりというのもあると思うし…、アートの深い面白さを世の中の人に知ってもらえたらアーティストの立ち位置が変わるかなと思いますね。
& : 今、アートが難しいと思っている人でも、きちんと説明すれば、難しいものではないと分かってもらえるなんじゃないでしょうか。
Y : 作品を見せて、ちゃんと説明したらわかってくれると思いますが、日常的にそういう機会が頻繁にあるわけじゃないから途絶えちゃうというか…。 それが、例えば企業のショッピングバッグにアートが取り入れられるとか、お店のディスプレイにたまに作品を展示しているとか、日常の中に断続的に目に入る機会があれば、それだけでも変わると思うんです。使用していないお店のディスプレイとかを使えたらいいなと思いますね。
ヤマガミユキヒロ さん

今後の活動について - 今までやってきた自分の作品を、もう一度疑いなおす

& : 今後どのように自分の作品を展開していきたいですか?
Y : 今までは「次こうしよう」というアイデアばかりが出てきていて、それを追って実現していたのですが、気が付いたら、絵画に映像を投影する作品などは最後に京都でしっかり発表してから4年も経っていたんです。そんなに時間が経っているなんて思っていなかったんですが…。そういった経緯もあって、今までやってきた自分の作品を、「あれは評判も良かったな」ということで終わるんじゃなくて、もう一度疑いなおすというか、考え直してみようと思っています。

& : 今後の展示のご予定をお聞かせください。
Y : 10月31日、11月1日の2日間、同志社大学京田辺キャンパスでグループ展があります。この展覧会は通常のグループ展と違って、教室を1人2部屋くらい使うので、個展がたくさんあるといったイメージですね。あとは来年の4月にneutron tokyoでの個展が決まっています。


このページの一番上へ