アーティスト紹介

polar M

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INTERVIEW WITH polar M 2010.03.03

作品について - すべての調和がとれた“完璧な瞬間”

&ART(以下、&) : 村中さんは音楽制作をするとき、いつもどういったことやものからイマジネーションを受けますか。
CAFE INDEPANDANTSでのイベント風景

CAFE INDEPANDANTSでのイベント風景

村中真澄(以下、M) : 言葉では説明し難いんですけど、普段生活していたり、景色を見たりしている時にすべての調和がとれた“完璧な瞬間”が訪れるときがあるんです。それを目指し、そこに到達したいという衝動がモチベーションになるんです。そこには少しの情感もあります。
& : “完璧な瞬間”を客観的に再現しようとするだけでなく、それを見たときの村中さんの感動が素直に作品に滲み出ているという印象を受けます。
ヴィラ九条山でのイベント風景

ヴィラ九条山でのイベント風景

M : そう感じていただけるとすごくうれしいですね。ただ、それはごく私的なモチベーションなので、リスナーに対しては、シンプルに受け入れてもらえるようなポップなものを作りたいと常に考えています。人を変えたいなんていう気持ちはないんですけど、感情を動かすことができればいいなと思います。
& : 『River River』や『Northen Birds』など曲のタイトルに自然が多く登場しますが、自然の事象に影響を受けることは多いですか。
M : そうですね。大自然から、身近な街の風景の中にあるものまで、どのような自然も好きで影響を受けています。例えば僕は自宅が京都御苑から近いのですが、あそこに行くと視界に飛び込んでくるものは「空と地面と木」といったすごくシンプルなものじゃないですか。そういったところに身を置くと、自分自身もシンプルな気持ちになれますし、調和のとれた状態に近い感覚になります。もちろん自然だけではなく、人との関わりなど、日常のすべてのことから影響は受けています。
& : 村中さんの音楽は「情感溢れているけど決して過剰でなく、ある程度のミニマルさを保ちつつも、アイデアがある」という絶妙なバランスを保っていますよね。
M : そこにはすごく気を使っていますね。

& : 装飾のない美しい曲が多いので、いわゆる“イージーリスニング”や“ヒーリング”と呼ばれる音楽など、“癒し”を目的とした音楽と捉えられかねないところもありますよね。
CAFE MILLETでのイベント風景

CAFE MILLETでのイベント風景

M : 『Three Times』というアルバムをリリースした時に“癒し系”ということを言われたのですが、それはすごく嫌でしたね。「毒がある」もしくは「何か心に引っかかる」ということは常に意識しているので、むしろ“癒し”というのは逆で、聞いた人の心に色々なものがひっかかってほしいと思っています。また、作っている時に没頭しすぎてしまうと、フェーダーのメモリ1mmで2時間くらい悩んだりするのですが、次の朝起きて目いっぱいメモリを上げたりして、結局意味がなかったとかいうこともしばしばあるんです(笑)。そういったことがあると、初動に準じた作り方をしなければいけないということも考えますね。
& : ただフェーダーやリバーブ1mmの違いで大きく空間性が変わり、心に引っかかる何かが生み出されるということもありますよね。
M : 僕もそれはすごく考えているんです。最近では「きれい過ぎるのならばさらにキレイにしてやれ」とも思っています。「きれいすぎる」ということも、突き抜けると毒になると思うので、何か付きつめることによってそういったものが出たら面白いというのは考えています。ただ、ライブなどに来てくれた人に、単純に楽しんでもらいたいという気持ちは忘れないようにしています。
村中さん

京都について - 色々な文化が狭い場所に混在していることが、独特な磁場を生んでいる

& : 村中さんは京都精華大学芸術学部ビジュアルデザイン学科を卒業されていますが、在学中はどのようなことを何を勉強されていましたか。
M : 主に商業デザインやグラフィックデザインの勉強をしていました。1、2回生の時は商業デザインの基礎を学び、途中から映像コースに移り、映像の勉強をしていました。在学時いい仲間たちと巡り合えたというのは財産ですね。面白い学校ですし、刺激もあり、大きく変えられたところはありました。
& : お住まいも京都ですし、京都でのイベントに参加することが多いですね。京都で活動している理由は何でしょうか。
M : 大学も京都でしたし、そこで知り合いもできて、自然な流れで京都にいる感じはありますが、やはり“魅力的な土地柄”ということは核にあります。他の土地にはないいい土壌があると思いますね。
村中さん

& : &ARTでも紹介しているPsysexの糸魚さんなど、京都のアーティストとの交流も多いと思いますが、京都のアーティスト/イベントについてどのような印象を持たれていますか。
CAFE MILLETでのイベント風景

CAFE MILLETでのイベント風景

M : 世間に流されず、心身で自分のやりたいことを表現している人が多いと思います。身近に感じられるんですけど、すごい世界観を持った人が多く、大阪や神戸にはない独自の不思議な雰囲気はあると思います。あとは、「この場でしかできないイベント」があちらこちらで行われていたりしますよね。法然院などのお寺もそうですが、決められた場所でなく、地の利を生かしながら、自分たちで場所を探し出すことで「京都のこの場所でやる意義」みたいなものを生み出しているイベントは多いんじゃないでしょうか。
& : 生活していて感じる京都の街の魅力はなんでしょうか。
M : 大きなアパレルショップの前にお寺があったり、ファッションビルのすぐ近くに呉服屋があったりなど、いい意味での“カオティックな狭さ”というのは魅力的ですね。色々な文化が狭い場所に混在していることが、独特な磁場を生んでいる気がします。地元が大阪の新興住宅地で、梅田のベッドタウン的な役割を持った街だったので、何もない街だったんですよ。そういうところにずっといたので、京都は歩いているだけで楽しいですね。色々と感じるものは多い場所だと思います。

社会について - やるからには「すごいものを見た」と言われるようなものを目指したい

& : 村中さんはどのような人に演奏を聴いてほしいですか。
M : 特に“こういう人”というのはなくて、すべての人ですね。生まれる前の子どもから死んだ後の霊体まで聴いてほしいです(笑)。例えばライブハウスだけでやっていると年齢層など、聴く人が限定されてしまうので、できれば色々な場所でやりたいと思っています。
& : 今までどういう場所で演奏したことがありますか。
M : ライブハウス、クラブはもちろん、カフェ、ギャラリー、多目的ホール、シンポジウムのオープニングみたいたいなこともやったことあります。坂道でもやりました(笑)。
& : 坂道ですか(笑)。
M : 坂道にアンプを置いて、“双子の未亡人”という京都のダンス・ユニットのデビュー公演で共演しました。野外の坂道で踊るという内容だったのですが、僕も坂道で斜めになってギターを弾きました(笑)。双子の未亡人さんとはそれ以降も共演させていただいています。

& :今まで、様々な人とコラボレーションし、たくさんの場所で演奏してこられていますが、そういった活動の中で感じる「社会の中で、音楽が与える影響」をどのように捉えていますか。
M : 音楽家が、どれだけ社会に影響を与えられるかということは分かりませんが、人としてどれだけ関われるかということが大事だと思っています。「自分のやっていることは本当に必要なのか」ということで悩んだこともありますが、今は音楽やアートが人間に必要なものだということは自覚しています。
& : 村中さん自身は、どのように社会と関わって行きたいとお考えですか。
アーティストが社会に対して影響を及ぼす時、「どのような表現を行っているか」というよりも、「そのアーティストがどういう人か」ということがすごく大事になってくるんじゃないかと思います。やはり社会というのは人が動かしているものなので、キーポイントは人なのではないでしょうか。「自分が人に対して何ができるのか」とういうことは試行錯誤しているんですけど、人にとって何か一つでもプラスになれるような人間になりたいということは考えています。ライブなどで演奏する時は、きていただいたいた方に、「軽い感動や、お土産を持って帰ってほしい」という気持ちでなく、やるからには「すごいものを見た」と言われるようなものを目指したいと思っています。


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