アーティスト紹介

宮永亮

  • 作品集(映像)
  • 作品集(画像)
  • インタビュー
  • スケジュール
  • プロフィール

INTERVIEW WITH MIYANAGA AKIRA 2009.12.18

作品について - 「その場で発想しながらどんどん組み立てていく」という感じ

&ART(以下、&) : 作品の制作プロセスをお教えいただけますでしょうか。
Wondjina 2009

Wondjina 2009

宮永亮(以下、M) : 最初に何か作りたいものがあるのではなく、カメラを持って外に出て、自然の風景などを撮影してパソコンに取り込み、その素材を吟味して「いかに組み合わせるか」「いかに重ね合わせるか」「いかにエフェクトをかけるか」というようなことを模索しながら作っています。コンセプチュアルというよりは「その場で発想しながらどんどん組み立てていく」という感じですね。
& : 作品を組み立てる上で大事にしていることはなんでしょうか。
M : カメラで対象を撮影しているときに感動してしまうことがあるのですが、ただ撮影した対象の素材を見せるだけではその感動は伝わらないんです。「伝えたい形にしてアウトプットしていく方法」としてエフェクトをかけたり、映像を重ね合わせたりしています。ある景色を見たときの感情を、増幅させたりして「よりストレートな形で伝えていきたい」というようなことを考えています。
& : 撮影対象はどのように選びますか。
M : 基本的には自然の風景ですね。自然の風景をボーと眺めているのが好きで、そこからアイデアを得たりします。
& : ある程度加工後のことを考えて撮影しますか。
M : そうですね。ただ思い描いていたものから外れていくのが常で、エフェクトをかけたり、映像を重ねていって、外れていったところから、さらに発想を広げていくみたいなことが多いですね。
& : 既存のエフェクトを用いるとありきたりな効果になってしまうような気がしますが、宮永さんの作品は撮影した対象の動きや質感とうまく組み合わせることで、高い独自性を保っていますね。
M : 1つ試して捨てて、また試して捨ててという作業の繰り返しですね。捨てないで残しておいたものが後でよくなったりとか…。何か到達点があって予定調和的に作っているのではないです。「作りながら組み立てていく」というのが一番面白いと思っていて、制作するうえでは僕が楽しめるかどうかが一番大事だと考えています。そこを抜きにしては作れないですね。

& : KODAMA GALLERYで発表された『Wondjina(ウォンジナ)』は人を引き込む強さを持った作品でした。プロジェクション用の巨大な壁面の設置など、展示方法についてはどのように考案しましたか。
M : あれはすごく幸運なことにKODAMA GALLERYに置いてある稼働壁がハイビジョンサイズだったのでそのまま使用したんです。ただ、展示の仕方は偶然ではなくて、作品展示の考え方として僕は「映像がプロジェクターでただ壁面に投影されている」という状態をあまり魅力的な展示方法ではないと思っています。画面だけを前に持ってくることで、奥行きを作って物質感を出したりとか、映像だと分かるようなものよりは「“もの”に近い存在感がほしい」という気持ちがあってあのような形にしました。
& : 『Wondjina』で使用していた楽曲はどのように制作したのでしょうか。
M : 京都芸術大学の音楽科の方に演奏してもらったドビュッシーの『アラベスク』というピアノ曲を録音し、それを反転再生したものをベースに制作しています。音楽に合わせて映像を作ったというのではなく、合わせてみたら「作品になっちゃった」という感じですね。僕はときどきVJをしていて、映像と音を即興で合わせるということをしているんですけど、その時こっちはDJがどんな音が出してくるかわからないし、僕がどんな映像を出すかもDJには分からないんです。現場でぶつけ合わせてみたら「偶然合っちゃった」という場合はすごく気持ちよくて、そういった快感をあの作品では伝えたいと思ったんです。
宮永亮さん

京都について - 自分の手の届く範囲で、自分を見失わずにいられる

& : 現在改装中のこのアトリエはどのように見つけたのですか。
「アトリエ GURA」外観

「アトリエ GURA」外観

M : 大学を出てから、ストレスなく自由に制作ができる場所を探していた時に、『ルームマーケット』という京都の一風変わった物件ばかりを扱っている不動産屋さんのウェブサイトを何度かチェックしていたら、ある時この物件がアップされていたんです。一目見たときに「これしかない」と思いさっそく電話をかけて、見に行きました。制作場所のみでなく、アーティスト側から発信できるような場所がほしいと思っていましたし、ここならば物件としても面白く、ある程度好きに改装が可能だったということもあって決めました。今入っているこのこたつも自分たちで作りましたし、今後はさらに自分たちの手で改装をしながら、「アーティストが制作している姿」を見せられるような場所にできたらと考えています。
& : アトリエのメンバーをお聞かせください。
「アトリエ GURA」宮永さんの生活スペース

「アトリエ GURA」宮永さんの生活スペース

M : メンバーは僕、畑昴太君、田中良君、貴志真生也君、河野如華さん、楠本真理さんの6人です。畑君はもともと陶磁器を作っていたのですが、今はライブペインティングや、Tシャツ、ステッカー作りや音楽をやっています。田中君は版画出身なんですけど、版画の枠にこだわらずに色々なメディアを使って制作しています。貴志君は僕の前にKODAMA GALLERYで展示をしていて、ブルーシートなどを用いた作品を作っています。河野さんはもともと彫刻を制作していたのですが、今は基本的に絵を描いています。楠本さんは僕と同じ京都芸術大学の構想設計に在籍していて、コンセプチュアルな作品を制作しています。6人の中で僕と畑君の2人はここに住みつつ、「生活と制作はどう繋がるのか」みたいなことも含めてやっている感じですね(笑)。

& : これからGURAをどのような形で展開していきたいですか。
「アトリエ GURA」内観

「アトリエ GURA」内観

M : まずは2010年2月に『京都オープンスタジオ2010』という京都にアトリエを構えている人たちが、期間をそろえてアトリエを解放するイベントに参加します。あとは地元の人たちに開放できるような場になっていければいいなと思います。開放といっても僕らもここに住んでいるので出入自由とかは無理ですけど(笑)、地域と結びついて美術関係者以外の方にも僕たちのことを知ってもらえるような活動がしたいです。

& : このアトリエのことも含めて京都で活動している理由は何でしょうか。
M : 一言で言うと居心地がいいということですね。自分の手の届く範囲で、自分を見失わずにいられるというところがいいんじゃないかと思います。作品に関しても、生き方に関しても、自分の中でまだ確固たるものが定まっていない人間にとってはゆっくり考えて整理ができる土地なんじゃないかと考えています。
& : 最近は一時に比べるとコマーシャルギャラリーも増えましたし、変わってきた部分もありますよね。
M : そうですね。ただアーティストがあまりコマーシャルな活動を意識しすぎると、京都の良さと言うのはなくなっていくと思います。僕自身もKODAMA GALLERYで展示しましたが、ギャラリーは「作品を売る場」というよりは「作品を発表する場」というのが第一義だと思っています。その場に合わせた一番いい見せ方をすることが最も大事だと思います。

社会について - アートの役割としては“非日常の雰囲気”を提供することが大事

& : 宮永さんはどのような人に自分の作品を見てほしいですか。
M : 僕は美術関係者のみを対象に作品を作ってるわけではないですし「普通の感性を持っている人達にわかるような作品」ということのは意識しています。そのために一番大事なのは作品の強度をどれだけ打ち出せるかということなんです。さっき「強さ」ということをおっしゃっていましたが、強いものは人の中に入って来るじゃないですか。「コンセプトがあるんだよ」と言われてもそれを誰もがわかるわけではないんです。難しい言葉でいうと「普遍性に語りかける」というところですね。感覚の一番共通している部分に語りかけることができれば誰にでもわかるんじゃないかと思っています。
宮永亮さん

& : 先ほど地域に必要とされるということをおっしゃっていましたが、社会においてアーティストはどのような役割を持っているとお考えですか。
M : アートの役割としては“非日常の雰囲気”を提供することが大事だと思っています。例えば今までだったら、お祭りや儀式がそういった役割を担っていたと思うんですが、現在そういったイベントは、非日常としての強度がそこまでないんじゃないかと感じています。そういった現状にアートというよく解らないものを注ぎ込むことで、お祭りなどに代わる“非日常の雰囲気”を、得たい人が得たいときに得られるような状況を作ることができるんじゃないかと思います。例えば、今でもギャラリーに行って非日常的な感覚を得るということは可能ですが、アーティストの努力次第で、既成のギャラリーで展示をするというだけじゃなく、別の仕方で提示もできると思います。普通の街並みの中にも全く役に立たないような作品がポンとあったりするだけでも、その場の日常的な感覚を変えることができるわけですし、そういうことがあれば世の中の人たちの考え方は絶対は変わってくるんじゃないかと思いますね。

今後の活動について -形態を色々と変えて、もっと作品を自由に作っていきたい

& : 今後どのようにご自身の活動を展開していきたいですか。
M : KODAMA GALLERYでの展示などは映像作品としての見せ方を意識していたので、スクリーンの四角い枠があったのですが、それは越えていきたいと考えています。もちろんああいった展示をやめるわけではないんですけど、形態を色々と変えて、もっと作品を自由に作っていきたいと思っています。何かオブジェクトに投影するのでもいいですし、インスタレーションの方向に近づいて行くんじゃないかなという展望はあります。まだ具体的ではないですが、映像作品のみの強度にとどまっていると、街に出ていくとかそういうことができないので、そのノウハウを得るためにもインスタレーションへの展開というのはしていかなければならないんじゃないかと思っています。

& : 今後の展示予定をお聞かせ下さい。
「アトリエ GURA」内観

「アトリエ GURA」内観

2月の『京都オープンスタジオ2010』のときに、このアトリエ内で映像作品を展示します。「今自分が住んでいるこの場所を撮影した映像を素材とした作品」というような、インスタレーション的な展開ができたらと思っています。


このページの一番上へ