アーティスト紹介

かなもりゆうこ

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INTERVIEW WITH KANAMORI YUKO 2009.09.09

作品について - 美術を通じて詩的な表現をしたいと思っています

&ART(以下、&) : 京都芸術短期大学の立体コースに在籍していたそうですが、現在のような、「もの」、「ひと」、「できごと」の関係性の中で時間、空間を作り上げていくスタイルにたどり着いた経緯をお聞かせください。
さまざななときのフラグメント

さまざななときのフラグメント 2009

かなもりゆうこ(以下、K) : こどもの頃から空間には興味があったんです。周りの状況に対する感覚が強かったので自分を取りまいている状態などに敏感だったんですが、言葉を使ってそれを表現することが得意ではなかったので、自然に作品を通じて「時間や空間」を作っていくという方向に向かったんじゃないかと思います。
& : 現在のかなもりさんの作品は、音、映像、パフォーマンス、それこそ様々なフラグメントの総体として表現しているという印象がありますが、初めに一つのイメージがあってそれに向かっていくという制作のプロセスなのでしょうか。
K : コンセプチュアルになにか一つのことをというのではなくて、美術を通じて詩的な表現をしたいと思っています。時空間があり、雰囲気があり、何か自分が包んでいるものがあり、そういう色々な物を構成して一つの世界を作って行くんですが・・・言葉で説明するのが難しいですね。作品の空間に浸って感じてもらうしかないですね。
& : 作品でのパフォーマーの動きについてお聞きしたいのですが、例えば、かなもりさんの作品の中では、パフォーマーの動作がシンプルなだけに、指先の少しの変化など、身体の細やかな動きにリアリティ感じます。動きの内容としても、「本を読むシーン」など、日常の身体感覚をそのまま発展させたりということが感じられますね。このような「動き」はどのように作っていくのでしょうか。
K : モデルさんとのやりとりに時間をかけていて、お互いの「こういうことがやってみたい」という行き来を積み重ねながら、モデルさんの体も私の感覚も納得いくまで、丁寧になんでもない動作でもすごく時間をかけて練習していきます。そうすれば撮る側も納得できますね。
かなもりゆうこさん

& : 作品内ではパフォーマーの方たちのイメージが、すごく共有されているように見えます。イメージの共有は初めの段階で行うのですか。
K : 少しずつやっていきますね。「今回はこれを大事にしてやってみよう」とか、少しずつ色々な言葉や雰囲気を共有しながらですね。「こうきたか」みたいな、探り合いもありますけどね(笑)。お互いだんだん近づいていくような感じです。
& : 最終的にはかなもりさんが編集しているんですよね。
telepathy

telepathy 2003

K : そうですね、昔はかなりドキュメンタリータッチなものを撮っていたんですが、2003年頃から、自分が第三者的な立ち位置から見ているような作品作りが徐々にできるようになってきてました。一緒に作品を作ってきた女の子がいるんですが、幼かった彼女が大きくなるにつれて、またその成長段階に合わせて作品を作ってきたんです。子供ってほんとに愛らしいですから、初めは様子を撮っているだけでもすごくおもしろかったのが、一緒に考えたりものを作っていける時期に入ってきて、それで私も、パースペクティブな視点での「作品作り」というものに移行してそれを楽しむようになってきました。

& : 長い期間同じメンバーで作り続けているということが、かなもりさんの作品から「人と人のつながり」を感じさせるのではないでしょうか。
K : 普段から表現をしている人、それから普通に暮らしている素人の友人も含めて、共有できるものがあって、一つのものを作っていける状態になっていて、それを自然に続けてきたという感じです。
& : そういうふうに制作できる環境は、すごく貴重ですね。かなもりさんの制作活動の原動力はなんでしょうか。
K : 自分は小さな頃から「表現されたもの」に与えられたり支えられてきた部分がとても大きくて、自分も「表現」を通じて人に何かを還元したいというのが根底にあるんだと思っています。生きる上で、そういうものにすごく刺激を受けて、元気づけられてきたことが、「自分もそんな存在になってみたい」という憧れになっているんだと思います。
& : 表現に刺激を受けてきたとのことですが、かなもりさん自身が作品を見る側としては、どのような作品に魅かれますか。
K : そうですね、実は映画もかなり好きで、楽しんだり勉強したりして来ました。ドキュメンタリー的なものにも、とても影響を受けました。イヌイットの映画などを撮ったロバート・フラハティや、ジョン・カサヴェテスなどの演出の仕方に惹かれましたし、ジョナス・メカスの感覚やロベール・ブレッソンの試みなどに感じ入りました。ドキュメンタリー的な演出方法や人の人生を視点にしたものはすごく好きですね。他にも好きな映画監督はたくさんいるのですが、今の人だとガス・ヴァン・サントやハーモニー・コリンなんかも好きです。

京都について - 個々人が集中して、等身大で丁寧に作品作りをしている

& : 哲学の道などで、よく撮影をするというお聞きしたのですが、他に京都でよく撮影する場所や、京都で好きな場所はどこでしょうか。
K : 鴨川などの市内、大山崎、宝ヶ池の方にはよく撮影に行きます。京都は町中の景色も含めて風景が本当にいいですよね。 また、書店や喫茶文化も京都はいいですよね。本屋さんは寺町二条の三月書房さんが好きです。
& : お住まいは高野の方ですよね。
K : そうです。高野川の河原にすぐ出られる場所なんですが、今年は蛍がたくさんいて、それこそ銀河のようでした(笑)。哲学の道などと比べて昔はそんなに鴨川に蛍はいなかったんですけど・・・川の水がきれいになっているんだと思います。
& : 蛍を見られるといううのは贅沢ですね(笑)。 京都は風景、伝統文化も豊かですが、他の都市と比較してアートへの意識が高いうこともいいところですよね。現在京都で行われているアートについてどのような印象を持たれていますか。
K : 文化全般にに対して懐が深いので活動に関する色々なことがやりやすいんじゃないかと思います。個々人が集中して、等身大で、丁寧に作品作りをしているというのが、特徴ではないでしょうか

& : 京都の様々なアーティストさんと共作/コラボレーションもされていますよね。
K : 一緒にやろうとしている人が点在しているのでいい状態ではありますね。京都から外にでると、相談する相手もいないし、一緒に制作する相手もいないので居ついているのかな、と。アーティストってわりと一人だから何かの時にちょっと助けになる人たちがいるということは大きいですよ。
& : ご一緒に制作されているアーティストもおられると思うんですけど、かなもりさんが、個人的に好きな京都のアーティストっていますか。
K : 最近は東京に拠点を移されたんですけど、ずっと京都で書いていらっしゃった、小説家の福永信さんとか、ダンサーの山下残さん、砂連尾理さんなど、たくさんいますけど、コツコツじっくりやっている人がいいなと思います。

社会について - アーティストは人々にインスピレーションを与える存在

& : これまで展示をされてきて、色々な人に作品を見ていただいたと思うのですが、主にどのような人に自分の作品を見てほしいと考えていますか?
さまざななときのフラグメント

さまざななときのフラグメント 2009

K : 人生を色々悩みながら頑張っている人のために作りたいですね。そういう人がいいインスピレーションを感じてくればと思います。
& : 会場で鑑賞者の方とお話をしたりしますか。
K : 会場に自分がいるときはお話しますね。アートは間口が狭いと思うので、もっと身近な存在になれればと思うんですけど・・・。
& : 来ていただいた方にどういうリアクションをしていただけるとうれしいですか。
K : じんわり感じてもらえたらそれでいいんですけど・・・嫌な思いをされたら悲しいですね。うれしいと思ってくれたら私もうれしいです。

& : かなもりさんにとって「社会」とはどういうものでしょうか。また、アーティストがそこではたす役割はどのようなものでしょうか。
K : 社会とは1人1人の意識でできているものだと思うので、それぞれが頑張らないと、いいものにならないですよね。アーティストは人々にインスピレーションを与える存在でなければいけないと思います。生きる上での美意識や心意気を探って、分ける、共有しあう、そういうことがアーティストの仕事だと思います。社会に何かを還元したいと思う年齢でもありますし、そういう役割を担っていきたいですね。アートはギフトみたいなもので、それが存在できる社会はいい社会だと思います。送る側と受ける側の精神性があってこその気概です。社会でブレそうになったものを、取り戻すことのできる存在のはずです。
かなもりゆうこさん

今後の活動について - 大きくて深いものに向かいたい

& : 今後どのように自分の作品を展開していきたいですか。
K : 大きくて深いものに向かいたいです。少しづつ変わっていくかもしれないですけど、自分にできることをしていきたいと思います。

& : 今後の展示のご予定をお聞かせください。
2010年の3月に大阪のギャラリーほそかわで個展があります。 後は少し先ですが、2010年の秋に東京「ASK? art space kimura」と「magical,ARTROOM」の2会場同時開催で、劇団「時々自動」のメンバーのJIROXさんとの2人展があり、その巡回展を来年の10月に京都の「MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w」で行います。どれも新作を展示する予定です。


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