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junaida

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INTERVIEW WITH JUNAIDA 2011.10.04

作品について - 見る人が自由に想像して遊べるという意味でのエンターテイメント

&ART(以下、&) : junaidaさんの絵は子ども心をくすぐるようで見ていてワクワクしますが、何か特別に意識して描かれている点はありますか。
2010 36.4×51.5cm
junaida(以下、J) : 特に子どもを意識しているわけではないですが、見た人が楽しめるということや、不快な気持ちにならないようにというのは考えています。自分の伝えたいことを見る人に押し付けるのではなく、見る人が自由に想像して遊べるという意味でのエンターテイメントを、絵の中に盛り込もうと思って描いていますね。基本的に僕はすごくシンプルに描きたいものを描いていて、それを楽しんでもらえたら嬉しいなと。でも、それを追求するのが意外に難しいんですけどね。
& : junaidaさんが描く絵は、物語のワンシーンを連想させる要素があると思うのですが、自分の中で具体的なストーリーなどを考えてから絵を描くのでしょうか。
J : それはここ数年、制作の裏テーマにしているところです。自分の中ではなんとなく物語のようなものがあって、その1シーンを切り取って表現しているんですが、でも自分の考えたものだけが正解じゃなくていいと思うんです。1枚の絵の“存在しない前後のシーン”を、見る人が好きなように想像できるようなものを作りたいですね。 展覧会の時など来ていただいた方に「この人はこうなんですか?」とか、「ひょっとしてこの人はここから来たんですか?」といった質問を受けることがありますが、自分が考えていたのとはまた違う解釈をされていたりして。「ああ、この人はこんな風に感じたんだな」ということを知ることができると、「よし、よし」とうれしく思います。

& : なるほど。junaidaさんのウェブサイトなどを見ても、タイトルや作品についての説明が全くないですけど、それも見る人に委ねている部分なのでしょうか。
2010 36.4×51.5cm
J : はい、絵にタイトルはあまりつけないですね。タイトルをつけた方が良い場合もありますが、タイトルをつけることである程度の制約が出るじゃないですか。そういうものもなくしたいんです。junaidaという人物像についても多くを語っていませんし、たぶん“謎めいた人”という印象を持っている人も多いんじゃないかと思いますが、僕はあくまで作品にスポットが当たってほしいので、それでいいと思っています。例えば、僕はゴッホが狂気の人でなくてもたぶんゴッホの絵が好きですし。それを作った人のことを知ったり解説を聞いて感じることはありますけど、作品を見た時の感覚を1番大事にしたいと思っています。ぱっと見た時の印象で楽しかったり懐かしかったりと、何かしら人の気持ちをくすぐるようなものを作っていきたいですね。
& : 芸能プロダクションのアミューズに所属していた頃の話をお聞きかせください。
J : 個人ではなかなか関われなかったであろうお仕事をすることができたり、個人では露出できなかったであろう媒体で活動できたのは、ありがたかったですね。大きな会社だからこそ繋がれる人ももちろんいました。
& : 上野樹里さんのウェブサイトのイラストや、ドラマ「ホタルノヒカリ」のタイトルバックのイラストなども、アミューズ時代の活動ですよね。
J : 上野樹里さんは同じアミューズ所属だったのですが、ウェブサイトのイラストはアミューズに入って最初に頂いたお仕事ですね。もう4、5年前になります。

絵の中の世界観について - 絵を通して、現実と想像の世界の境界線を曖昧にしている

& :家や街の絵が多いのは、何か統一されたイメージや世界観があるのでしょうか。
J : 気づいたら描いてたという感じです。以前、家をモチーフにした立体作品を作っている作家さんとお会いしたんですが、その方は子どもの頃、転勤族だったらしいんです。僕も転勤族で、小学生の時4回転校しています。ひょっとしたら、家や街に対して普通とはちがう感覚があるのかもしれないですね。
& : 家でなくても、junaidaさんの絵には本棚やえんぴつなど、日常生活で目にする物がたくさん出てくるので、絵の中の世界が身近にあるように思えてきますよね。本より小さな人が描かれていたりしますけど、ふっと横を見たら本当にいそうな気がします。
J : そうそう。絵の中にはすごく大きな人もいれば小さな人もいたりして、そんな自由な感じが楽しいですよね。 「こういうコーヒーカップの中で小さな人がジャバジャバやっていたら面白いなぁ」とか、「この建物よりもすごく大きな人が窓の外を歩いていたら楽しいなぁ」とか、本当に些細な想像を絵で表現しているだけなんですよ。そういうデタラメな世界に入り込む入り口を作るというか、見る人の想像のスイッチを押すきっかけになればいいなと思います。引き出しを開けたら何かいるんじゃないか…とか(笑)。
& :大人になるとそういう想像をする機会は減りますけど、たぶん誰だって考えることですよね。
J : そうですね。僕の絵はファンタジーだと言われることが多いんですが、ものすごくファンタジーなことを描いているわけでもないと思うんですよ。必ず現実の物を混ぜ込んでいるので、絵を通して、現実と想像の世界の境界線を曖昧にしているというか。ちょっと見方を変えたら、日常の風景も面白くなりますしね。
junaidaさん

& : 影響を受けたものについて伺います。ウェブサイトでは宮沢賢治さんの物語を絵にされていますが、世界観などに何かしら共感するところがあったのでしょうか。
junaida meets Kenji Miyazawa 「銀河鉄道の夜」より

junaida meets Kenji Miyazawa
「銀河鉄道の夜」より

J : はい、あります。でも、宮沢賢治の作品をちゃんと読んだのはわりと最近です。3、4年前に読んで「わー!」となりました。僕は絵描きの安野光雅さんが好きなんですけど、安野さんも近年知って「わー!」となりました。「すごーい、めっちゃ好きやわー」って(笑)。もっと根本的な影響だと、タイムボカンシリーズですかね。メカにはまりました。これは僕のルーツですね。他には鳥山明先生とか。同世代の人が見て楽しんでいたものと、そんなに変わらないと思います。映画ではチャップリンも寅さんも好きだし、音楽ならTHE BLUE HEARTSの影響は大きいですね。もともと音楽を聴かなかったのですが、14歳ではじめてTHE BLUE HEARTSを聴いた時に…たぶん僕、もう1回「オギャー!」て生まれたんですよ。お母さんから生まれた時以来の衝撃がありました。その時サッカー部に入っていたんですがすぐにやめて、ギター買いに行ってそこから音楽ばっかりやってましたね。
& : 絵はいつ頃から描き始めたんですか。
J : 作品として絵を描いたのは、大学の卒業制作がはじめてでした。
& : 大学では何を専攻されていたんでしょうか。
J : 大学ではカートゥーンを学んでいました。1コマ漫画や、風刺画とかですね。その中に絵本専攻があって、自分でも絵本を描いてみようかなと思ったのが本格的に描きはじめたきっかけです。通っていた画塾にボローニャ国際絵本原画展の図録があったんですけど、その中に僕がイメージする世界観に近い絵がたくさんあったんです。その独特な世界観と自由な表現を見て「絵本って大人が見ても楽しめるんだな」ということに気づき、「絵本は子どもが見るもの」という固定概念がなくなったんです。それからなんとなく描きはじめましたね。

京都について - 京都で完結するのではなく、どんどん外に向けて発信していきたい

& : 京都の大学に行っておられましたが、今も京都を活動の拠点にされている理由はありますか。
J : さきほども言いましたが僕は転勤族で、子どもの頃から1カ所に落ち着いたことがなかったんです。京都には大学進学の時から居ますから、僕の人生の中では一番長く住んでいる場所です。とにかく居心地がいいですね。いろんな街で過ごした中でも1番です。何でも手が届く範囲にあるし、街も自然もいい。もっとバリバリ仕事したかったら東京とかの方がいいと思いますけど、それよりもゆっくり制作に専念できる環境を大事にしたいので、京都に住んでいる感じですね。
& : 奥様とやっておられる京都・荒神口のお店、Hedgehog Books and Galleryについてお聞かせ下さい。
Hedgehog Books and Gallery

Hedgehog Books and Gallery

J : いつかお店をやりたいなぁとは思っていたのですが、いろんな縁があって、思っていたよりも早く実現することができました。このタイミングで挑戦してみようかな、という感じではじめましたね。

& : 本屋だけでなく、小さなギャラリーがありますよね。はじめからこのような空間にしようと考えていたのですか。
junaidaグッズフェア Hedgehog Books and Gallery

junaidaグッズフェア Hedgehog Books and Gallery

J : 自分の好きな時に発表できる環境って、表現者にとってはなかなか持てないものですから。これはチャンスだと思って、奥さんにギャラリーにしてくださいと(笑)。そこでいろんな人が表現してくれることで僕も刺激になりますし、展示ごとに店の雰囲気が変わるのも楽しんでいます。こういったスタイルで運営できるのは、“京都だから”ということも関係していると思います。
& : 確かに、他の土地で同じ事をしようと思うと難しいかもしれないですね。
J : 例えば京都で好きな本屋巡りをしようと思ったら、自転車があればだいたい1日で回れるじゃないですか。そういうこじんまりとしたところがいいですね。足を運んでもらいやすいというか。でもjunaidaとしてもHedgehogとしても、京都で完結するのではなく、どんどん外に向けて発信していきたい。特にjunaidaの作品は言葉もいらないですし、だからこそ京都・日本に収まらず、海外にも出ていきたいとは思っていますね。絵って、いろんな垣根をなくしていけるものだと思うので。

社会について - 「社会」を思う時には、想像力がいるんじゃないかなと思います。

& : 作品をどのような人に見てほしいですか。
J : みんなに見てほしいです。誰でもいいし、より多くの人に見てもらいたいですね。
& : junaidaさんにとって、「社会」とはどのようなものでしょうか
J : 自分が関わりを持てる範囲での社会はたぶんとても狭いですよね。友達だったり、家族だったり。仕事としてはもっともっと広いビジョンで関わることはありますけど。作品でいうと、例えば家で家族が「いいやん」って言ったら、多くの人も「いいやん」って言ってくれるんじゃないかと思えますよね。普段は関わっている人々を自分の社会だと感じていますけど、それが自分の見えていない人たちにも繋がるんじゃないかと想像ができるし、想像しなきゃいけない。「社会」を思う時には、想像力がいるんじゃないかなと思います。
& : アーティストは社会でどのような役割を持っていると思いますか。
J : 僕は、自分はアーティストというよりはクリエイターだと思っています。ものをつくったり想像する人、というか。あとは、絵描きとか画家の方がしっくりきますね。僕はただ、絵が好きで描いている人なので。 でも、僕みたいな絵描きを含め、アーティストは居なくても誰も困らないけど、居ないと物足りたかったり寂しかったりする存在なんじゃないでしょうか。

& : 分かる気がします。誰かの作品がなくなっても日常に支障はないですけど、例えば家に飾ってある作品や絵がなくなると思うと、なんだか寂しい気がしますね。
J : そうそう、そんな感じですね。 アーティストと言われる人たちは、社会の中で自分の立ち位置や存在意義を見出そうとしていると思います。僕もそうですし。自分にしか出来ない表現をすることはもちろん、何とか社会の一員として認めてもらえないだろうか、と。アーティストは、そうやって覚悟を持って活動していかないといけないと思います。
junaidaさん


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