アーティスト紹介

林勇気

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INTERVIEW WITH HAYASHI YUKI 2009.09.11

作品について - 同時代性が強くなれば、逆に普遍性がでてくると思っています

&ART(以下、&) : 映像制作の工程と、作品のコンセプトをお聞かせください。
afterglow 2009

afterglow 2009 videostill,detail

林勇気(以下、H) : 基本的な工程としては、日常の中で撮影した膨大な数のデジタル写真をコンピュータにストックしていて、それを切り抜き、重ね合わせてアニメーションを作っています。コンセプトとしては、映像の制作過程や映像そのものが、「インターネットやテレビゲームが当たり前としてある世代の人間の世界との対話の仕方」を連想させるんじゃないかと思っていて、僕らより、少し上や下の年代では、こういう表現は出てこなかったんじゃないかということは確信しています。
& : 初めて、ギャラリー三条で林さんの作品を拝見させていただいたときに、同時代性を強く感じましたが、しかしそれと同時に林さんは普遍性も強く意識していますね。
H : そうですね、ある時代を切り取るような形で、同時代性が強くなれば、逆に普遍性がでてくると思っていますね。連続していく時間の中で表現は同時代を映しだす鏡のような側面があると思うんですけど、そこは対立するものじゃなくて結びついているものだと思っています。
& : 例えば、時代背景の予備知識なしでは理解し難い古いドキュメンタリー作品などでも、「アーティストが作品に込めた思い」を感じ取ることができれば、普遍的な何かを感じられることはありますよね。
garden 2008

garden 2008
Photo by THOMAS Savab

H : 個の感情とか精神性みたいなところが反映されていると、時代は違っても普遍性が出てくるのかもしれないですよね。

& : そういう視点で言うと、林さんの作品、そして人柄や言葉の印象からは、感情の温度を感じますよね。すごく熱い(笑)
H : 目線はちょっと引いた、俯瞰(ふかん)的な視点からの作品ばかりで、クールに見えるかもしれないですけど、やはり時間のかかる制作なので、熱さがないとできない仕事かもしれないですね(笑)。特に最近は膨大な量の画像を切り抜いたりしているので(笑)
& : 林さんは色々な映画祭に出品されていますよね。どういった経緯で、出品されることが多いですか。
H : 海外の映画祭は、1つ出品したら、そこで見てくださった人が、また違う映画祭で呼んでくださったりとか、そういうことが繋がって行く場合が多いですね。上映してもらった映画祭はすべて招待され出品しているのですが、なかなかいつも現地に行けなくて・・・香港の時は行こうと思ったんですけど、ちょうどそのときSARSが流行っていて行けなかったんです。大きな映画祭だったので悔しかったですね。
& : 海外の映画祭で印象に残っていることはありますか。
H : 印象に残っていることといえば、バンクーバー国際映画祭のときのセレブなパーティーはすごかったですよ。明らかに場違いでスタッフみたいでした(笑)。みんなドレッシーな感じで、毎日のように出品者などが集まってパーティーをしていたのですが、その時映画祭のディレクターに、連れて行ってもらった中華料理は、今まで食べた中華料理の中で一番おいしかったです(笑)
林勇気 さん

京都について - 何げない風景が京都らしく思えてすごく魅力的に感じますね

& : 林さんは京都生まれでずっと京都で活動されていますが、京都で好きな場所、京都の魅力とはなんでしょうか。
H : 三条商店街は好きですね。時々商店街内の西友でプリンターのインクを買っています(笑) 。京都の作品に使う写真とかは、観光地などでなく、路地裏に転がっている何かを撮影したりしているんですけど、そういう何げない風景が京都らしく思えてすごく魅力的に感じますね。大阪や神戸の路地裏とはまた違う魅力があると思います。
& : 日常の風景として京都を扱っているというのも、「異邦人として京都に来て」という感覚でなくて、京都で生まれ、京都に住んでいるからこその感覚というところは大きいのではないでしょうか。
H : そうですね、京都で写真を撮るときも、あちこち撮影に行くわけじゃなくて、自分の生活範囲内で写真を撮っています。匿名性がある風景の方が素敵だなあと思いますね。撮影対象も、次見たらなくなっているものを撮っている場合が多くて、本当に何気ないガムのカスとか、落ち葉とか、子供用の三輪車を撮影したら次に来たらなくなっているとか・・・。

& : 日常生活の中からインスピレーションを受けたものを撮影するのでしょうか。
H : 目に入ったことを写真に撮っている感じなので、「自分の脳に記憶させる代わりに、メモリに記憶しているという」イメージはあるかもしれないですね。撮った写真は別に覚えていないことも多いので、メモリに入れて、時間を置いてみたら「こんなん撮ってたんだ」みたいなこともよくあります。直接に影響を受けているというよりは、自分の記憶の外部装置みたいに写真使っているのかもしれないです。

社会について - 作品は社会や世の中の出来事の写し鏡だと思う

& : どのような人に自分の作品を見てほしいとお考えですか。
H : 多くの人に見てもらいたいと思います。おじいちゃんでもいいし、おばあちゃんでもいいし、お子さんでも、同世代のアーティストでもそうですし、美術関係者にももちろん見ていただきたいし。特定のこの人に見てもらいたい、というのはないですね。
& : 展覧会に来られた方と会話しますか。
H : 会場にいればこちらからお話しすることもありますし、話しかけていただくこともありますね。 僕の作品は、小さい子が喜んでくれることが多くて、こどもに「これ何に見える?」と質問したり、逆に「これ何?」と聞かれたりもします。普段小さな子どもと話すことは多くないので、新鮮でおもしろいですね。子どもが純粋に喜んでくれているのを見ると、普遍性につながるのかなと思います。
& : 林さんの作品は「難しさはないけれど、表面的な作品ではない」という意味ではすごくバランスがいいですよね。
H : ありがとうございます。自分のおばあちゃんが今ちょっと元気がないので、作品を見て「おもしろい」と言ってほしいんですけど、いつも「わからんわ」と言われますね(笑)。同じくらいの年の方でも面白いと言ってもらえるときもあるのですが・・・。
& : 例えば、アートは間口が狭いという現状もあり、たくさん見ていただきたいとい気持ちがあっても、一度の展示で見ていただける人の数は限定されていますよね。現在のアートの社会性についてどのような考えをお持ちですか?
H : 作品は社会や世の中の出来事の映し鏡だと思うし、どんな作品でも、大なり小なり社会性というのは付きまとっていると思います。

& : 僕は林さんの作品は自分の内側にあるものを表現しているのでなく、写真を使うことで、世界そのものを素材にしているように感じます。林さんの制作行為は、林さん自身の世界との関わりを提示することではないでしょうか。それはきっと多くの人にとって特別なものではないと思うんです。
H : そうですね、先ほど話した記憶の外部装置という話でも、多くの人が体験していることだと思います。全然アートに触れたことがない人に見てもらっても興味を持ってもらえるのかなと思います。見てもらうことで社会性というのは出てきますし、少しづつやっていくしかないですね。
林勇気 さん

今後の活動について - なだらかな山を描くように活動していきたい

& : 今後どのように自分の作品を展開していくおつもりですか。
H : ギャラリースペースでも展示をさせていただく機会が多いんですけど、最近は映像のライブをやったりとか、上映会に使う映像を作ったりだとか、野外で展示したりだとか、ギャラリースペースではないところでも展示をしたいと考えています。もちろんギャラリーでの展覧会は中心にしたいんですけど、そうじゃないところにもすそ野を広げていって、なだらかな山を描くように活動していきたいなと思います。

& : 今後の展示の予定をお聞かせください。
H : 10月に同志社大学京田辺キャンパスでグループ展に参加し、11月にはneutron(京都)で個展をします。11、12月には大阪のアートコートギャラリーで展示があって、12月に愛知県芸のギャラリースペースでグループ展をします。
& : かなりのハードスケジュールですね(笑)。
H : 機材が足りなくて困っています(笑)。


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