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INTERVIEW WITH DOTS 2009.09.24

作品について - 舞台芸術という表現の新しい可能性を模索

&ART(以下、&) : dotsの活動のコンセプトをお聞かせください。
桑折現(以下、K) : dotsは舞台芸術というジャンルで活動しています。どのようなジャンルにおいても、歴史や文脈はあります。舞台芸術も細分化されていて、ダンスがあったり演劇があったり、演劇でもさらに種類があります。そのように色々なものがあることを踏まえた上で、舞台芸術という表現の新しい可能性を模索し、且つ拡張していけるような活動をしていきたいと考えています。身体、光、音、空間、時間、映像など、要素が多いジャンルなので、一つひとつを捉え直しながら、作品に応じて必要なものを吟味して作っています。
& : これまでの桑折さんの作品のコンセプトを見ていると、一貫して「世界と人間の関係性」、「他者と自分との関係性」が、作品の根底にあるような印象を受けます。舞台芸術におけるパフォーマンスというのは実際にパフォーマーとお客さんが対峙できるという点において他の芸術と違いますが、桑折さんは作品を通して「自分と世界との関係性」をダイレクトに表現していると感じました。
K : そうですね。舞台は結局のところ、人がいなくては成立しないものなので、「人というものをどう捉えているのか」ということを突き詰めていくと、いつもだんだんテーマが大きくなっていくんです。「人間の社会的な側面を捉える」というよりは、どちらかというと、「人が生まれて生きて死んでいく」というような、根源的な部分を改めて再認識していけるような時間を、作品によって作りたいと考えています。
桑折現さん

& : 桑折さんは『KZ』や最新作の『KISS』で、ドイツ・ハンブルグの郊外にあるノイエンガンメ強制収容所跡を訪れ、その空間と対峙した時に感じた、歴史との対話、歴史との断絶ということをテーマにしておられますね。戦争を負の歴史として捉えざるを得ない日本とドイツでは、歴史認識に対するあまりに重い義務感のようなものが付きまとっているように感じます。それだけに桑折さんの世代がそういうテーマを直接的に表現することは、すごく意義のあることなのではないでしょうか。
KZ

KZ 2003

KISS

KISS 2009

K : 例えば戦争も含め、歴史に対して先人が残した色々な記録を読むことはできるけれども、当事者ではないのに、「歴史を語っていく」ということが可能なのかということはいつも考えていて…。ただ、人間の行なってきたことに対して、無関係ではないという態度はとりたくて、では具体的にどうやってアプローチしていけばよいのかということに悩んでいた時に、収容所跡を訪れた体験の中から「歴史を抱えた空間の中で感じた現在と現実」ということをポイントにすると、歴史に対するアプローチの仕方が何か1つ見えてくるんじゃないかと考えたんです。

& : 歴史性という話でいえば、日本の近代の歴史についても、展開していける可能性はありますよね。
K : 今考えているのは、もう少し「場所」が持っている歴史や記憶を取り入れて作品は作っていけたらと思っています。パフォーミング・アートでそういう可能性は模索したいですね。
  

京都について - 自分の作品に対して向かい合う時間がとりやすい

& : 京都芸術センターを拠点にしておられますが、京都での制作の環境はどうでしょうか。
vibes

vibes 2007

K : 京都芸術センターがないと、作品を制作していくこと自体が難しいと思うので、あの場所の存在はすごく大きいですね。京都は街がちょうどいい大きさなので、みんなが自転車に乗って気軽に集まれるじゃないですか。そういう時に拠点にできる場所があることはいいですよね。
& : 京都で活動している理由は何ですか。
K : ずっと京都で制作して、その作品を京都はもちろん、他の場所でも発表しているのですが、京都で作った作品を他の所に持っていくという現在のスタイルはすごくやりやすいと感じています。あとは、多くのアーティストが感じていることだと思うのですが、あまり無駄な情報に振り回されずに、自分の作品に対して向かい合う時間がとりやすいところもいいですね。

& : 京都で生活している中で感じる、京都の魅力はなんでしょうか。
K : 具体的な場所で言うとやっぱり鴨川がいいですよね。あとは、人によって感じ方は違うと思うんですけど、人と人との関係性という面で、「クールだな」と感じる部分があって、どちらかというと他人に興味がない人が多いと思います。それはいい部分でも悪い部分でもあると思うんですけど、僕は生きていきやすいと感じます。
& : 制作の際に、人と人との距離が近すぎると、没頭できないということもありますか。
K : 作品って、見る人のことを考えながら作るじゃないですか。見る人を想定することによって作品はすごく変わると思うんですけど、あまりに自分の所属するコミュニティーへの意識が強いと、作品を制作する際に、そこにしか向かっていけない部分があると思うんです。僕はそうならないように、見る人の対象を大きく捉えたいと考えています。

社会について - チームで作品を作っていく時には独特の社会性が生まれますね

& : 人によってさまざまな捉え方があると思いますが、桑折さんは「社会」とのつながりをどのようにとらえていますか。
K : 舞台芸術は、多くの現代アートのように、「お客さんが開期中好きな時に訪れられる」というわけではなく、日時、場所が決まっている上に、お金を払わなければ見ることができません。そのためお客さんに対する「社会的な責任」ということを考えないことには作品そのものが成り立たないと考えています。一番強く感じるのはそういう部分ですね。
桑折現さん

& : 例えばdotsという集団を作ることも小さな社会をつくることですよね。
うつつなれ

うつつなれ 2003

K : チームで作品を作っていく時には独特の社会性が生まれますね。複数の人が集まって、作品を制作し、発表する過程で、みんなが自然に前向きになれるように、主宰者として気を遣っている部分はあります。

& : 桑折さんは作品を発表していくことで、社会に何を提示できると思いますか。
K : 「この作品を作ることに、何か意味があるのか」ということは、作品を作るときにはいつも考えるんです。そのことを肯定的に捉えた一つの考えとしては、人は社会の中において誰しも役割を担って生きているけど、「日常生活の中では見えてこない人の姿」というのがあって、作品はそれに改めて気付いてもらえるようなひとつの装置だというものです。それには色々な方法があって、「社会的な姿というものを捉えつつ、そこからこぼれていているようなものを見せていくような仕掛け」もあるとは思うのですが、dotsがやろうとしていることは、「逸脱してしまった姿」を見せることによって、それを表現しようとすることです。ただその一方で、「世界で現在起きている色々な問題に対して、アートは何ができるか」ということは常に考えていて、そういった意味では、アーティストは本当に色々な物を犠牲にしないといい作品はできないと思いますね。本当にそこまで自分ができているのかというのはいつも考えています。

今後の活動について - 劇場という文化の文脈の中で何ができるのか

& : 今後どのように自分の作品を展開していきたいですか。
K : まずは劇場で上演する作品を作りたいと考えています。劇場という文化の文脈の中で何ができるのかということは考えていきたいですし、劇場での作品はそこで作って発表するだけでなく、他の所にも持っていけるので、色々な場所の人たちに見てもらえますからね。 また、劇場での作品と並行して「その場所でしかできない作品」も制作していきたいと考えています。制作する際、自分たちがその場所でしかできないことを試行していくことが、結果的には劇場という場所での作品に変化をもたらすのではないかと思います。この二つの活動は今後並行して進めていきたいと考えています。 あとはもっと小さいピースで、少人数の作品もやりたいですね。

今後の活動のご予定をお聞かせください。
来年の三月に滋賀県のしが県民創造館で行われる「琵琶湖ダンスコレクション」という企画に参加します。そこでは20~30分程度の新作を上演予定です。


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